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【2005年6月16日】今日は<梅子黄(うめのみきばむ)>

目次

梅子黄(うめのみきばむ)とは?

読み方は「うめのみきばむ」。これは七十二候(しちじゅうにこう)のひとつで、二十四節気の「夏至(げし)」の末候にあたります。
おおよそ7月初旬から10日ごろに訪れる時期で、文字通り「梅の実が黄色く色づくころ」という意味です。

七十二候とは?

まずはちょっとだけ基礎知識。
七十二候とは、一年を五日ずつくらいに分けた古代中国の暦法で、日本にも伝わり、季節の細やかな移ろいを表現する言葉として親しまれてきました。
たとえば、「蛙が鳴き始める」とか「ツバメが帰ってくる」といった自然の兆しを名前にしたもので、日本の四季を感じるにはぴったりの文化なんです。


梅子黄の風景:まるで初夏のグラデーション

「梅子黄」の季節になると、梅の実が青々とした未熟な状態から、だんだんと黄色く熟していきます。
青い梅は爽やかな酸味が特徴ですが、熟して黄色くなった梅は、香りも甘く、少し柔らかくなってきます。

この頃になると、梅を漬ける「梅しごと」もいよいよ佳境!
庭先や軒先に吊るされた梅干し用のザル、ガラス瓶の中でぷかぷか浮かぶ梅酒用の梅、キッチンに広がる甘酸っぱい香り……。
まるで暮らし全体が梅色に染まるような、そんな時期です。


「梅仕事」のベストシーズン

「梅子黄」は、梅を使った保存食づくりのラストチャンスでもあります。

黄梅で作るおすすめレシピ

  1. 梅ジャム
    黄色く熟した梅を使えば、甘みが強くてまろやかなジャムに。パンはもちろん、ヨーグルトに混ぜても美味!
  2. 梅酒
    完熟梅で作る梅酒は、青梅で作るよりもやさしい香りと深い味わいに。琥珀色になるまでじっくり熟成させるのが楽しみです。
  3. 梅シロップ
    青梅で作るのが一般的ですが、黄色い梅でもOK!氷砂糖と一緒に瓶に詰めると、夏の暑さを吹き飛ばすさわやかな飲み物になります。
  4. 梅味噌・梅醤油
    意外と知られていませんが、刻んだ完熟梅に味噌や醤油を加えて漬け込むことで、絶品の調味料になります。夏の冷奴や素麺にぴったり。

黄梅は「縁起のよい実」?

梅は昔から、邪気を払う果実とされてきました。
お正月の「梅昆布茶」や、受験シーズンの「合格祈願の梅干し」、または戦国武将が陣中食として持ち歩いた話もあるほど、梅は縁起物として親しまれてきました。

特に熟した黄色い梅は、金運アップや厄除けの象徴とされることも。
黄金色に色づく梅を見つけたら、ちょっとラッキーな気持ちになれるかもしれませんよ。


梅子黄の頃の自然と暮らし

虫たちも活発に

この時期は、梅雨の終盤にさしかかるころ。湿気が多くて蒸し暑く、夜にはカエルの合唱が響きます。
田んぼには稲がすくすく育ち、ホタルの姿が見られる地域も。

七夕ももうすぐ

「梅子黄」の時期は、七夕と重なることも。
短冊に願いを書いて笹に飾りながら、梅酒のグラスを片手に星空を見上げる……なんて過ごし方も粋ですね。


梅子黄にまつわる言い伝え・豆知識

「梅はその日の難逃れ」

昔の人は「朝に梅干しをひとつ食べると、その日は災難から逃れられる」と信じていました。
とくに夏場は食中毒や体調不良が多くなる時期。殺菌作用のある梅干しは、まさに“天然の薬”と考えられていたのです。

梅と健康の深い関係

梅にはクエン酸が豊富に含まれており、疲労回復や食欲増進、夏バテ防止に効果的。
「梅子黄」は、そんな梅パワーを取り入れる絶好のタイミングでもあります。


「うめのみきばむ」名前の美しさ

「黄ばむ」という言葉、今ではあまり日常で使いませんが、どこか詩的で優雅な響きがありますね。
「色づく」とも違って、じんわりと時間をかけて熟れていく様子が感じられます。

実はこの“黄ばむ”という表現は、日本語の季語の中でもとてもやさしい印象を与える言葉。
あたたかい太陽の下で、実がゆっくりと命を蓄えていく。
そんな自然のリズムに寄り添うような名前なのです。


現代人にとっての「梅子黄」

現代では、スーパーで一年中梅干しも梅酒も買えます。
でも、自分の手で梅を漬けたり、黄梅の香りをかいだりすることで、季節を肌で感じることができます。
時間の流れが速くなった現代だからこそ、五感を使って季節を味わう「梅子黄」の過ごし方は、贅沢で心を豊かにしてくれます。

こんなことしてみよう!

  • 近所の直売所で黄色い梅を探してみる
  • キッチンに梅の瓶を並べて「梅仕事」を楽しむ
  • 七十二候のカレンダーを眺めながら、その日の自然の移ろいに目を向ける
  • 梅の香りをテーマにしたアロマやお香を使ってみる

梅子黄の一句

「熟れそむる 庭の黄梅 母と干す」
— 梅子黄の情景を詠んだ俳句

季節の言葉には、ふとした日常を特別にしてくれる力があります。
今年の「梅子黄」は、いつもよりちょっとだけ立ち止まって、自然の声に耳を澄ませてみませんか?


まとめ

項目内容
読み方うめのみきばむ
時期7月初旬(夏至の末候)
意味梅の実が黄色く熟し始めるころ
関連行事梅干しづくり、梅酒づくり、七夕
おすすめ体験梅ジャム・梅シロップづくり、香りを楽しむ
豆知識梅干しは「その日の難逃れ」になる

「梅子黄」は、初夏の締めくくりにぴったりな、美味しくて風情あふれる季節のことばです。
ぜひ、今年はこの時期を意識して、小さな「梅しごと」や自然観察にトライしてみてくださいね。

香り立つ梅とともに、あなたの暮らしにも優しい彩りが訪れますように。

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